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正規雇用等転換コース利用のメリットは? 補助金制度を紐解く

正規雇用等転換コース

正規雇用等転換コースという補助金の制度はご存じですか。これは、返済の必要がない条件さえ満たせば事業主が受け取れるお金であり、事業主にもメリットがあり、労働者にもメリットを与えるというものです。

この記事を最後まで読んでいただいた方は、この制度にどんなメリットとデメリットがあるのか、またどんな概要の制度なのか、より深く理解していただけていることと思います。

1. 正規雇用等転換コースの概要とは

正規雇用等転換コースは、キャリアアップ助成金という制度の中の1つのコースであり、現在直接雇用をしていない労働者を正社員として迎え入れたり、直接雇用として契約し直したりすることで補助金がもらえる制度のことです。

正規雇用等転換コースのほかにも補助金がもらえる制度は複数存在し、人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)制度やセルフ・キャリアドック制度、教育訓練休暇等制度といったものもあります。それぞれの制度で補助金が出る条件が異なり、どのような分野に力を入れると補助金が受け取れるのか異なるため、経営方針に合わせた制度を選択することが大切です。

この正規雇用等転換コースは、キャリアアップ助成金の中にある1つのコースとお話ししましたが、正社員化コースと呼ばれていることもあるため、注意していただきたいと思います。別の制度でなく同じ制度であるため、併用することができないということです。

しかしながら、例えば正規雇用等転換コースと人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)の制度を同時に導入し、条件を満たしたのであれば双方から補助金を受け取るといったことができます。もちろん、3つ以上の制度を同時に活用することも可能です。

そのため、直接雇用を進めるとともに労働者に対しほかのメリットを享受させることにより、該当の制度から補助金を受け取ることもできてしまうのです。すると、事業主としては負担が少なく、労働者としては労働意欲や能力の向上ができるため、双方にとってメリットあるのが正規雇用等転換コースといった補助金の制度なのです。

2. 正規雇用等転換コースのメリットとは?

正規雇用等転換コースを利用する際のメリットは、何と言っても事業主の負担が減ることです。この制度にマッチする方針を導入しても、制度の利用申請を行わなければ補助金が出ることはないのです。せっかく同じことをしても、補助金のありなしで事業主の負担は大きく変わりますので、補助金の制度を利用しないというのは実にもったいないことと言えます。

もちろん、正規雇用等転換コースを導入するメリットは、事業主の直接的な金銭面だけでないことをお話ししておきたいです。そもそも、この補助金制度の趣旨は概要でお話ししたとおり、現在直接雇用していない労働者を直接雇用するか正社員として雇用し直すことで適用されます。

ということは、この正規雇用等転換コースを利用すれば、労働者の収入が不安定でいつ契約を切られてしまうのか不安に駆られてしまう派遣社員やアルバイトといった立場から、一転して比較的安定して働き続けられるという安心感を得られる直接雇用の契約社員や正社員として働くことができ、より働きがいを持って動いてもらえるのも正規雇用等転換コースのメリットと言えるのです。

より働きがいを持って働いてもらえれば、それは事業主にとって結果的に生産性の向上につながることとなり、正規雇用等転換コースの補助金をもらいながら直接雇用の促進をすることで、より自社の発展を見込むこともできるということなのです。

事業主としてもメリットがあり、労働者としてもメリットがある正規雇用等転換コースという制度は、活用すればいい人材を他社に奪われる前に囲い込むことも可能、という制度とも言えます。

3. 正規雇用等転換コースのデメリットとは?

いいことばかりをお話ししてきましたが、正規雇用等転換コースにもデメリットは存在します。デメリットがまったくないおいしい話、というのをチラつかせられたのであれば、それは詐欺ではないのか疑ってかかった方がいいと思います。

正規雇用等転換コースでは確かに補助金を受け取ることができますが、それには上限額が存在します。有期の労働者を無期の労働者として契約変更した場合や、無期の労働者を正社員として契約変更したという、それぞれ直接雇用に転換したケースでは最大36万円の補助を受けることができます。

しかし、正規雇用等転換コースにおいて有期で契約していた派遣社員を直接雇用し無期の契約社員に転換した場合、確かに最大36万円を受け取ることはできますが、実際賃金の差や福利厚生の差で長期間働いてもらえば働いてもらうほど、最大36万円という補助金があっても足りなくなるケースがあります。

例えば、正規雇用等転換コースを導入する前に派遣社員で時給1,000円、1日実働8時間の週5日出勤していた方の給与は、税金を引く前で月16万円です。契約社員に転換した際、時給が1,200円になったとすると、同じ時間働いても税金を引く前の給与は19万2千円です。給与面だけでも、同じ労働者に対し月に3万2千円余計に支払わねばならないのです。

するとどうでしょうか。正規雇用等転換コースで受け取ることができた最大36万円というのは、1年でチャラになってしまうのです。以降は、完全に事業主負担でまかなわねばならないということですね。

これは極端なケースですが、正規雇用等転換コースだけを考えると、これに加えて福利厚生の充実化の可能性もあり、労働者をしっかりやる気にさせて生産性を向上させる人材を選ばないと、人件費の圧迫で会社が傾く事態にもなりかねないのです。

4. 結局正規雇用等転換コースは導入すべきなのか

正規雇用等転換コースのメリットとデメリットは理解していただけたかと思いますが、結局のところ導入はすべきなのかが気になりますよね。結論から言ってしまうと、私は「導入すべき」であると考えます。

その理由として、1事業所あたり年間15人までしか正規雇用等転換コースの補助金を受けながら雇用体系を転換することはできないからです。もちろん、補助金関係なしに転換するのは自由ですので、年間16人以上雇用体系を変更することも可能です。

また、デメリットで挙げた例ですと最大36万円を受け取れる雇用体系の転換ですが、有期の労働者を正社員として雇用すると最大72万円と倍の補助金を受け取ることができるため、時給1,000円から月給19万2千円に賃金が変わったとしても、2年弱は正規雇用等転換コースの補助金で給与の差額はまかなうことができるという計算になります。

もちろん、これに加えて福利厚生の差もあることが多々あるため、もっと短期間で正規雇用等転換コースにて受け取れた補助金が尽きてしまうこともありますが、補助金でまかなえている間にやる気や能力を向上してもらい、賃金や福利厚生にかかる費用の差額より多く生産性を向上してもらえるような人材を選べばいいのです。

例えば、正社員として雇用する計画があります。そのために、今の仕事+αで正社員にしか任せられない仕事も増えます。雇用体系が正社員になるだけでなく、賃金がこうなり、福利厚生もこのようなものを用意していますよ。

そんなお話しをして、乗り気でない労働者であれば正規雇用等転換コースを真っ先に適用させるのは考え物です。乗り気でない労働者を直接雇用しても、生産性が向上するとは思えません、私には。任せる仕事が増えたぶん、多少は生産性が向上するでしょうが、乗り気でやる気に満ちあふれた労働者に任せるより、劣った結果になりやすいと考えるのが自然だと思います。

このように、1事業所あたり年間15人までしか補助金を受けられない正規雇用等転換コースを誰に適用させるのか、しっかり吟味した上で経営を行うのであれば、生産性を向上させ企業を発展させるためにも、もらえる補助金はもらっておけという意味もあり、この制度は導入すべきと言えるのです。

おわりに

いかがでしたか。正規雇用等転換コースでは、いかに生産性の向上が見込める労働者に制度を適用していくか否かで、その後の経営状況が大きく変わっていってしまうことがわかりました。やる気がある人材をどう選んでいくのかも、ポイントの一つということですね。

どのようにすべきか困った時には、専門知識を有するキャリアコンサルタントに依頼するのもいいかと思います。


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