返済不要の助成金

雇用調整助成金の受給で倒産回避? 制度の概要と利用法とは

雇用調整助成金

事業をされている方にとって、雇用調整助成金というものを理解しているのとしていないのでは、今後もしも経営難に陥ってしまった場合、既に経営難である場合に雲泥の差が生まれます。この制度を知らないと、事業を畳むしか思い至らないかもしれないですね。

この記事を最後まで読んでいただいた方は、この制度がどんなものなのか、どうすれば利用できるのか、もしもの時のためにも理解を深めていただけていることと思います。

1. 雇用調整助成金の概要とは

雇用調整助成金は、さまざまな経済的事情によって経営が悪化したことにより事業活動を小さくする、または休止する場合に利用できる制度です。ですが、制度の名前に「雇用」と入っているとおり、これは雇用をしている労働者のことを考えるための制度であり、倒産しないため運営資金を受給できるわけでないことに注意が必要です。

この雇用調整助成金には受給するための要件が存在します。要件は、次の5つです。

① 雇用保険の適用事業主であること
② 直近3か月の売上高や生産量の月平均値が、前年同期と比べ10%以上の減少が見られること
③ 直近3か月の雇用保険被保険者数および派遣労働者数の月平均値が、前年同期に比べて中小企業の場合は10%を超えかつ4人以上(大企業の場合は5%を超えかつ6人以上)の増加がないこと
④ 実施する雇用調整が、次に挙げる一定の基準を満たすものであること
④-1 休業の場合、労使間の協定により、所定労働日の丸一日にわたり実施されるものであること
④-2 教育訓練の場合、4-1と同様の実施基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識や技術の習得や向上を目的とするものであり、当該受講日において本助成金の対象となる教育訓練を除く業務に就かないものであること
④-3 出向の場合、対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰させるものであること
⑤ 過去に雇用調整助成金または中小企業緊急雇用安定助成金の受給経験のある事業主が新たに本助成金を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年を経過したものであること

雇用調整助成金を受給するためには、これらをクリアしなければならず、経済的事情で経営が悪化してから制度について考え始めていては、手遅れになりやすいと言えるのです。助成金にはほかにも、キャリアアップ助成金やセルフ・キャリアドック制度などさまざまありますが、雇用調整助成金と同じく思い立って申請したからと、すぐに助成金を受け取れるわけではないのです。

簡単に言ってしまえば、労働者を解雇せず、雇用し続けることにより助成金を受け取れるのが雇用調整助成金という制度なのですが、これは経営が悪化したからとすぐに雇用関係を切ってしまうことは、労働者はもちろん事業主にとっても、企業の立て直しに必要な生産性を欠いてしまい、双方に不利益があるため雇用調整助成金で助けてもらえるのです。

2. 雇用調整助成金を使うデメリットとは

雇用調整助成金を利用する際のデメリットは、労働者を解雇しないため、助成金を受け取れるとはいえ賃金や休業手当が発生するということです。この費用は、事業を縮小し立て直しを図っている間ずっと発生し続けるものであるため、立て直しの計画がうまくいかないと人件費がかさみ、じり貧になる可能性があります。

また、雇用調整助成金はすべての賃金や休業手当を助成してくれるものではなく、労働者1人あたり1日最大7,775円が上限額となっており、さらに賃金や休業手当の最大2/3までしか助成してもらえないのです。

そのため、例えば雇用調整助成金を利用し1日に9,000円の賃金もしくは休業手当を支払わねばならない労働者がいた場合、助成されない1/3にあたる1日3,000円は事業主が負担する必要があります。これが、人件費が発生し続けてしまうという雇用調整助成金のデメリットと言えます。

3. 雇用調整助成金にメリットはあるのか?

事業の立て直しを図る際、雇用調整助成金を利用し人件費がかさんでしまったとしても、それを超えるようなメリットが事業主にないと、とても労働者を雇い続けておく気にはなれないと思います。

結論から言ってしまうと、雇用調整助成金の利用時に人件費がかさむことがあっても、事業主には十分なメリットがあります。それは、雇っている労働者の能力です。

雇用調整助成金のメリットを十分に理解していただくためには、なぜ事業主としてあなたはその労働者を雇い入れたのか、そしてその労働者は企業にどれほど貢献してくれているのか、ということを考える必要があります。

これは、特に資格や技術を要する労働者に対して有効な考えであり、そのような方を優先して雇用調整助成金の対象として行くべきだと思います。

例えば、熟練した大型トラックの運転手。この労働者は、最低でも大型トラックを運転するために大型免許を持っているはずです。しかし、普通自動車免許を取得したもののペーパードライバーをする方も多いのですから、事業が元の軌道に乗り始めても、雇用調整助成金を正しく運用せず熟練した大型トラックの運転手という労働者を逃がしてしまっていたら、せっかく元の軌道に乗り始めた事業もまた失速しやすい状況が生まれます。

ならば、経営が苦しい時には解雇し、元の軌道に乗り始めたら同じ労働者を再雇用すればいいかと言われると、雇用調整助成金を利用していないと労働者は単なる失職状態にあるわけですので、同業他社にせっかくの労働力を奪われてしまう可能性が高いです。

そうなると、生産性の向上を目指すどころか、生産性は元の状態に戻すことが困難になり、やがては事業を畳むしか策がなくなってしまう可能性すら生まれるのです。

4. 結局雇用調整助成金ではいくら助成してもらえるの?

雇用調整助成金では、先にお話ししたとおり労働者1人あたり1日最大7,775円の賃金や休業手当を助成してもらえます。これに加え、教育訓練を実施した場合には1人1日あたり1,200円がさらに助成してもらえるため、1人1日あたり8,975円までは助成される可能性があります。

ただし、雇用調整助成金を利用したあくまでも最高額であり、賃金や休業手当によっても助成額は変わってくるため、日給換算で12,000円弱の給与を支払っていないと、最大額は受け取ることができないと計算できます。

また、雇用調整助成金には受給の期間制限もあります。出向させたことによる賃金補助は最長1年、休業や教育訓練の場合には初日から数えて1年の間に最大100日分、3年間で最大150日分までしか受け取ることができないため、1人に対し長期間多額の助成を受けることはできない仕組みになっています。

おわりに

いかがでしたか。雇用調整助成金は事業が順調であれば関係ない制度ですが、もしもの事態に陥ってから調べ、用意をしても遅い制度なのです。事業主として現在の事業をより発展させ続けるためにも、労働者を路頭に迷わせないためにも、もしもに備えて万全を期すことも必要とされます。

せっかく雇っている労働者の信頼を裏切らない、能力を失わないためにも、もしもの事態の制度についても考えておいていただきたいと思います。


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