返済不要の助成金 キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金には8種類ある 適用範囲の正しい理解へ!

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金という制度はご存じですか。特に中小企業の事業主にはうれしい、返す必要のない助成金がもらえる制度なのですが、適用にあたって必要となる条件は8種類のコースに分かれているのです。

この記事を最後まで読んでいただいた方は、それぞれのコースがどのようなものなのか、理解を深めていただけていることと思います。

1. キャリアアップ助成金の概要は?

キャリアアップ助成金は、簡単に言ってしまえば、労働者がより多くの利益を受けられるよう職場の制度改革を行った場合に受けられる助成金制度のことです。事業主が使いやすい助成金の制度として、人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)、また労働者の能力を向上させるという労働者への利益も十分にあるセルフ・キャリアドック制度や教育訓練休暇等制度といった制度もありますが、それらの制度より格段に労働者への利益は大きく、働きがいを与えることができる特徴を持ちます。

例えば、キャリアアップ助成金では、派遣社員として働いている労働者を直接雇用したり正社員として迎え入れたりすることで労働者は派遣切りの不安から解消されるという利益を享受し、事業者は助成金を受けながら有望な労働者を長く雇い入れることができるのです。

これは一例にすぎませんが、せっかく育てた労働者が契約満了とともに競合他社に奪われてしまうリスクや育てた労力の無駄を考えると、キャリアアップ助成金を上手に使って労働者に長く快適に働いてもらう環境作りをすることも、事業主として大切なのではないかと思います。

2. 8コースのキャリアアップ助成金【違いはなにか】

キャリアアップ助成金には、8つのコースが存在します。それは、次のようなものです。

①正社員化コース
②人材育成コース
③賃金規定等改定コース
④健康診断制度コース
⑤賃金規定等共通化コース
⑥諸手当制度改定コース
⑦選択時適用拡大導入時処遇改善コース
⑧短時間労働者労働時間延長コース

これら8つのコースを持つキャリアアップ助成金では、助成金の助成額はもとより、助成金を受け取るために必要な条件も大きく異なります。それぞれのコースでは、次のような違いがあります。

正社員化コースでは、キャリアアップ助成金の制度で一番多くの助成を受けることができるもので、「有期または無期の労働者を正規雇用または直接雇用」した場合に適用されるのです。既に直接雇用している社員を正社員として契約し直しても、対象外ということですね。

人材育成コースでは、有期や無期の労働者に「Off-JTやOff-JTとOJTを組み合わせた3~6か月の職業訓練」を行った場合に助成が受けられます。人材育成コースとセルフ・キャリアドック制度は相性がいいため、併用して運用すると事業主の負担は大きく減ることでしょう。

③~⑥に分類された、賃金規定等改定コース、健康診断制度コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度改定コースは名前がそのままでわかりやすいかと思います。

賃金規定等改定コースでは「有期または無期の労働者の賃金を改定し賃金アップ」をした場合、健康診断制度コースでは「有期または無期の労働者へ法定外の健康診断を導入し4人以上に実施」した場合、賃金規定等共通化コースでは「正規雇用者と同じ賃金に統一」した場合、そして諸手当制度改定コースでは「有期または無期の労働者にも正規雇用者と同じ諸手当を支給した場合」にキャリアアップ助成金を支給してもらうことができます。

⑦と⑧が少々ややこしいのですが、選択時適用拡大導入時処遇改善コースでは「社会保険の適用範囲を拡大し、有期や無期の労働者も被保険者とし基本給を増額」した場合に、短時間労働者労働時間延長コースでは「短時間労働者の労働時間を延長し、新たに社会保険を適用」した場合にキャリアアップ助成金を支給してもらうことができます。

8種類のコースがあるキャリアアップ助成金の制度ですが、助成金がもらえるという点では差がない代わりに、どのような条件で助成金がもらえるのか、またいくらまで助成してもらえるのか、という点が大きく異なっているのです。

3. 最もお得なキャリアアップ助成金はどれか

8種類のコースがキャリアアップ助成金の中にあることはわかっていただけたかとは思いますが、果たしてどの制度を利用すると最もお得なのか、違いをお話ししただけで理解していただけましたか。それは難しいのではないかと思います、私は。

というのも、キャリアアップ助成金はなにも1コースだけしか選べない制度ではないため、例えば正社員化コースと人材育成コースを両方利用し、2つの助成金上限額までそれぞれ受け取ることもできるのです。もちろん、そのためにはそれだけ満たさねばならない条件が先にお話ししたとおりありますので、8種類のコースすべてを導入することは非常に難しいと考えるべきだと思います。

しかし、あえて1つだけ、最もお得であるキャリアアップ助成金のコースを挙げるとするならば、それは人材育成コースであると私は考えます。その理由は、1人1時間あたり最大960円の助成が受けられ、それは事業所あたり年度ごと最大1,000万円まで支給されます。

つまり、1人200時間人材育成コースの賃金助成に充てたとして19万2千円、それが50人で960万円、残り40万円は経費の実費として考えたとしても、それだけの人数を助成金だけでまかなうことができる計算になるからです。

これはキャリアアップ助成金の、ごくごく単純な経費や人数の計算ではありますが、その程度の人数に対して実際実施したとしても多くの実費を伴うことなく、助成金でやりくりしながら従業員の能力向上を図ることができるお得なコースと言えるのです。

4. キャリアアップ助成金導入にデメリットは?

キャリアアップ助成金のいいところばかりをお話ししてしまいましたが、デメリットももちろんあります。企業の規模によっては、デメリットの方が大きい可能性もありますので、よくわからない場合には、キャリアコンサルタントに相談されるのもお勧めと言えます。

肝心のキャリアアップ助成金におけるデメリットですが、まず最低条件に「キャリアアップ管理者」というキャリアアップに取り組む知識や経験を有する人物を選任する必要があります。いない場合には、キャリアアップ助成金は利用いただけないので、先に選任してから受給手続きを行う必要があるのです。キャリアアップ管理者は、事業主でもなれるため、事業主兼キャリアアップ管理者として活動することもできます。

また、このキャリアアップ管理者というのは、事業所ごとに設置する必要があります。東京事業所と大阪事業所がある場合、2名のキャリアアップ管理者を選任する必要が生じ、2事業所を同じ者が受け持つことはできない決まりです。キャリアアップ助成金は、この管理者選任をいかにスムーズにできるか、またいかに労働者が喜び労働組合とも折り合いがつく制度を導入できるかが勝負になるため、事業主1名で何でも決めて動こうとするのが難しいのもデメリットと言えるでしょう。

おわりに

いかがでしたか。キャリアアップ助成金では、助成金を使ってより良い職場環境を作り、より長く労働力を確保できるという事業主の観点、またより良い環境で雇い続けてもらえるという労働者の観点それぞれでメリットが大きいものです。

すぐに全員を正社員や直接雇用は難しくとも、ほかの方法で満足な環境作りや能力向上を図れるのであれば、ぜひとも制度の利用を検討してみていただきたいと思います。


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